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司法書士の業務と料金相場について


司法書士って何をしてくれる人?料金はいくらぐらい掛かるの?
司法書士という言葉は聞いたことがあるけど、いったい何をやってくれると思っている方はたくさんいるかと思います。
今回はそういった疑問にわかりやすくお答えするため、
司法書士の業務や料金相場について司法書士先生にインタビューしていきました。


 

司法書士 伊藤 貴胤 氏

昭和48年7月28日 愛知県生まれ
平成9年関西学院大学文学部英文学科卒業
同年株式会社伊藤園入社
同社退社後、司法書士試験を目指す
平成16年司法書士試験合格
平成20年行政書士試験合格

司法書士試験合格後、高槻の司法書士事務所にて4年3カ月勤務を経て、
平成21年5月吹田市で開業し、現在に至る

司法書士検索サイト:


本日はよろしくお願い致します。

伊藤先生:


こちらこそよろしくお願い致します。

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ではさっそくお聞きしていきたいのですが、司法書士さんはどういった業務を行うことができるのでしょうか?

伊藤先生:


はい。原則的に言うと、司法書士は法務局に関連する手続きが、メインの業務になります。
今回は、債務整理・会社設立・成年後見・相続登記の業務内容をお話したいと思います。
まず債務整理ですが、債務者の方が相談に来られた際、債務者の借金残額や返済状況を確認して、
どういった方針を取るのが一番いいか検討していきます。

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最初の相談だけでも料金はかかりますか?

伊藤先生:


いえどういった案件でも、最初の相談で料金を頂くとこはほぼないと思います。
債務整理などであれば最初の相談で、ある程度相談者に過払いが発生するかどうかがわかります。
そして、相談者から依頼を正式に受けるときに料金が発生しますね。

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具体的に依頼とはどういうことでしょうか?

伊藤先生:


債権者に対して私達が、受任通知(債務者が司法書士に債務整理を依頼したという書類)を送付するということです。 なぜなら受任通知を債権者に送付すると、債権者は債務者に対して、借金の請求・取立・一切の連絡を入れてはいけなくなります。

なので、私達もこの受任通知を送るということは、責任が発生しますので、 着手金を頂かないと手続きに入ることはできません。

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そうなんですね。
では債務整理について詳しく教えてください。

伊藤先生:


ではそれぞれの債務整理の方法についてです。
債務整理は、具体的に申しますと、

過払い金請求・任意整理・特定調停・個人再生・自己破産といった種類があります。
それでは一つずつご説明致しますね。

過払い金請求

業務名過払金返還請求
期間:業者や社数によって対応も異なるのでさまざま。
業務内容 消費者金融などで払い過ぎた、利息を返還してもらうための手続き業務
※キャッシング・消費者金融等は、利息制限法で定められた利率を超えた利息を請求している場合が大半です。 そういった場合は、利息制限法の利率を超えて支払った利息は、法的に支払う必要がないのに支払ってしまった利息であり、払い過ぎてしまった分は過払い金として返還請求することができます。
※但し過払い金が140万を超えてしまうと、依頼者の代理人となることが出来なくなってしまいます。なので、裁判等になっても、書類の作成という形でしか援助が出来なくなってしまいます。
メリットなど 下記に当てはまるような方は、返還請求できる可能性があるので、一度司法書士に相談しにいったほうがいいでしょう。
•過去にキャシング・消費者金融等と取引していたことがあり、完済してから10年が経過していない。
•キャシング・消費者金融等と5年以上取引しており、利息しか減らず残元金が一向に減らない。
料金相場 着手金 3万円 債権者1社につき 3万円(税別)+ 過払金回収額の20%

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この過払金返還は消費者金融に請求をすれば、必ず返還されるんですか?

伊藤先生:


2~3年前なら絶対と言えていたのですが、今は正直わからないですね。
全額返還され難くなっているのが現状だと思います。


一時期の消費者金融の社数が、現在は半分程度になっています。
潰れてしまった会社から、お金を返還してもらうのはなかなか難しいです。

そして、残りの半分はどうかというと。 こちらもいつまで会社が存続するかわからない状況です。

例えば、過払いの計算をして100万円返還請求しても、そのまま100万円返還する会社は少ないです。
大体が半額~7割程度の返還だと思います。

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でもそれでは納得しない人がいるのでは?

伊藤先生:


そうですね、そうなると裁判ということになります。 しかし裁判判決で全額返還しないといけなくなっても、 返還しないという業者は事実多くなっていますね。

なるべく消費者金融も返還する額を抑えていかないと、 毎年億単位の返済をしているので 会社の存続自体、危うくなってきていると思いますので。

また消費者金融の業者によっても対応はそれぞれ違います。


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着手金や成功報酬の20%というのは大体どの事務所も同じ料金ですか?


伊藤先生:


そうですね、着手金は2万円~3万円は外れることはないと思います。 ただ債務整理専門でやっている事務所などは着手金がないところもあります。

成功報酬に関しては、大体どこも20%前後だと思います。
成功報酬が40%~50%となっている事務所は、少し相場からはずれているかなと思いますね。


任意整理

業務名任意整理
期間:1社 3ヶ月程度
業務内容裁判所を通さずに、司法書士が消費者金融等に対して直接交渉し、返済計画を見直す手続です。 消費者金融等は違法な金利を請求している場合が多く、法定利息に基づいて計算すると債務が大幅に減額されることがあります。計算後の残元金について3年~5年の間で返済方法を、債権者と話し合い和解します。
メリットなど計算した後の借金額に利息が付かない。
料金相場着手金 3万円 債権者1社につき 3万円(税別) ※減額した分の成功報酬を取る事務所もある。

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任意整理とはどういった方法ですか?


伊藤先生:


例えば債務者から開示された取引履歴に基づき再計算すると、借金の残額が20万だったとします。
司法書士は債務者と債権者の交渉を援助して、20万円を債務者の方が月々いくら返済できるかを検討して、 返済期間をきめて残額を返済するという方法です。 この任意整理のメリットは、将来的な利息が発生しないということです。 通常は借金には利息が付きますが、この場合20万円なら20万円だけを返済すればいいということです。 なので、借金の返済が早く終えられるということですね。

特定調停

業務名特定調停
期間: 3ヶ月程度~4ヶ月程度
業務内容任意整理とほぼ同じ手続きですが、この場合司法書士ではなく、裁判所の調停委員が債権者との話をまとめてくれる。。
メリットなど調停委員による仲裁なので、手数料などの費用が安くで済む。
料金相場1社につき数百円~数千円程度(裁判所により異なる)


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特定調停とはどういった方法ですか?


伊藤先生:


特定調停というのは、簡易裁判所の調停委員の方に、 任意整理とほぼ同じ手続きを行ってもらうことです。 ただし、この場合、調停ということになるので、原則、債権者の同意がないと調停は成立しません。
メリットとしては、司法書士が代理で行う事も出来ますが、本人で申立てることも可能であり、その場合でも調停委員が債権者との話し合いをしてくれます。本人で申立をすれば申立費用のみで済むので、他の債務整理の手段と比べると安価で済むということです 少しデメリットがあるとすると、調停調書が債務名義となるため、履行遅滞に陥った場合に、強制執行されるおそれがあること、調停成立までの遅延損害金が債権額に加算される場合があることなどです。

個人再生

業務名個人再生
期間: 6ヶ月~1年程度
業務内容裁判所が関与し、借金の総額を金100万円もしくは5分の1まで減額した上で、原則3年で分割弁済していく手続です 民事再生は将来に渡り、継続反復して収入の見込みがある人が対象となります。
メリットなど住宅ローンなどを抱えている方は、 持家を手放すことなく返済手続きを行う事が出来る可能性があります。 計算した後の借金額に利息が付かない。
料金相場着手金 3万円
住宅資金特別条項なし 30万円~
住宅資金特別条項あり  35万円~
※住宅資金特別条項とは簡単にいうと住宅ローンがあるかないか。

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個人再生とはどういった手続きでしょうか?


伊藤先生:


個人再生の場合は任意整理と似ているのですが、大きな違いがあります。
過払いなどを含め再計算した借金の残額を、 債務者の返済の能力では返済できないというとき。 裁判所に再生の申立をして、 認可を受けると、強制的に借金を5分の1もしくは100万円まで減額してくるということです そのあとは減額した借金額を決められた期間で返済していく形になります。 この場合も将来的な利息は発生しません。


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料金の部分の住宅資金特別条項とはどういう意味でしょか?


伊藤先生:


はい。 住宅資金特別条項とは、法が定める一定の要件を満たした住宅ローンの債務がある方が使う手続きです
住宅ローンはそのままの状態で、その他の借金だけを減額してもらうときに、 書類に住宅資金特別条項を付けます。 住宅資金特別条項付きで申請すると、 持家を処分しないまま、借金の返済ができるのです。
住宅ローンがない方は、住宅資金特別条項は付けません。

自己破産

業務名自己破産
期間:6ヶ月~1年程度
業務内容裁判所を通じて借金をなくす手続です。 自己破産では、免責許可決定が下りると、債務額が多くても借金から解放されることになります。 さまざまな誤解やイメージがあり、依頼者の方に敬遠されがちな手続ですが、生活再建の上では最も効果的な手続といえます。
メリットなど借金はなくなる
デメリット:一定の財産価値のあるもは処分する必要がある
料金相場着手金 3万円
同時廃止事件 20万円~

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自己破産とはどういった方法でしょうか?


伊藤先生:


自己破産は債務整理の中で最終的な手段です。 原則、一定の財産価値のあるものは処分してもらうということです。 家や車、株や保険などのうちで一定の財産価値があるものですね。 なので、本当に支払い不能状態の方が行う手続きです。

また自己破産にも2つの形があります。

まず自己破産する前に債務者が、比較的高額な財産を所有している場合や、破産法上の免責不許可事由に該当する行為が見られる場合には、破産管財人という方が就任します。 破産管財人は財産価値を換価して債権者へ配当したり、不許可事由を調査して、免責してもよいのか判断したりします。この破産管財人が就任するのが管財事件です。 しかし財産がほぼない方や不許可事由が見られない方などは、破産管財人を入れて調査する必要もないので、 すぐに手続開始と同時に廃止となります。それが同時廃止事件といいます。

会社設立

業務名会社設立
業務内容定款の作成~登記業務まで。 会社設立に関わる一連の業務を、依頼者の代理人となって手続きが出来る。
メリットなど会社設立に関わるすべての業務を代理人となって手続き出来るので、 依頼者が公証人役場に足を運んだりしなくてよい、書類に記載及び押印するだけで、あとは司法書士がすべて行ってくれる。
料金相場100,000円~150,000円
※登録免許税など実費分は別途必要

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会社設立ではどういった業務の流れになるんでしょうか?


伊藤先生:


会社設立の場合であれば、司法書士は依頼者の代理人となって、定款作成や登記手続きまで行えますので、 依頼者には資本金や役員をきめてもらい、書類に記載及び押印してもらう作業だけになります。 その他は司法書士が代理人としては、設立まで一連の業務を済ませます。


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料金については100,000円前後が相場ですか?


伊藤先生:


そうですね、司法書士の場合手数料は100,000円前後が相場だと思います。


成年後見

業務成年後見
業務内容精神上の障害により判断能力が十分でない方は、不動産や預貯金等の財産管理をしたり、介護サービスや施設への入所手続の契約を結んだり、遺産分割の協議をする必要があっても、自分で行うことが困難な場合があります。また、訪問販売等の悪質商法の被害にあう恐れもあります。このような方の保護・支援をするのが成年後見制度です
料金相場100,000円~150,000円 ※その他印紙代などの実費は別途必要

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成年後見とはどういった制度なのでしょうか?


伊藤先生:


はい、この制度はまだ出来て10年ぐらいの制度ですので、 比較的普及はしていますが、まだ知らない方にとってはなじみが薄いかなと思います。
この制度を簡単に言うと、 認知症、知的障害、精神的障害などの精神上の障害があり、ご自身で財産の管理が出来ない方の代わりに、 財産を管理したり法律行為を援助したりします


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親族以外でも代わりにはなれるんですか?


伊藤先生:


はい、代わりになることができます。
なぜなら親族どうして揉めている場合があるからです。 そういった身内の方が後見人になってしまうと、自分のために財産を使用するケースもあるからです。
後見人の許可を出すのは家庭裁判所です。 裁判所も紛争がありそうな身内を後見人として選任しにくいのです。

例えば、認知障等がある母親を施設に入れて、息子が母親の資産を管理します。 しかし母親の年金などをすべて自分の事に使ってしまう。 このような経済的虐待がおこるケースがあります。 このようなケースを守る第三者の後見人を立てたりします。 なので、裁判所は第3者の的確な専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士等)を指名します。 例えば司法書士なら社団法人リーガルサポート、弁護士にもそういった機関があり、 そういう機関に裁判所が後見人の依頼を出します。


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では先生も後見人になったりするのですか?


伊藤先生:


基本的には親族が後見人になる場合の申立書類の作成がメインです。
しかし、私もリーガルサポートに登録しているので、後見人になることもあります。


相続登記

業務相続登記
業務内容不動産を所有する方が亡くなった場合には、相続人への移転登記が必要となります。 相続登記に期限はありませんが、相続登記をしておかないと担保にいれてお金を借りたり、売却ができない場合があります。 長期間たった時点で手続しようとしても、さらに次の相続が発生して相続関係が複雑化したり、相続人間の話し合いが困難になったりして、相続登記が出来ない場合も発生します。 したがって、相続が発生したら早急に手続されることをお勧めします。
料金相場所有権移転登記 30,000円から60,000円
遺産分割協議書 10,000円から20,000円
相続関係説明図 10,000円から20,000円
附属書類作成等 10,000円から20,000円
官庁提出業務(管轄外) 10,000円から20,000円
戸籍等必要書類取得代行 1通につき1,000円
登記簿謄本 1通につき1,000円

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相続ではどういった業務を行うのですか?


伊藤先生:


相続で私達に相談に来るのは、不動産を所有している方ですね。 不動産は名義変更などの手続きが発生しますので。 しかし、遺産分割などを依頼者と 協議の取りまとめてはしてはいけませんので、そういったことは出来ません。 私達は相続人の方たちの話がまとまったものを、 書類に記載して法務局に提出することしか原則できないんです。


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相続で発生する登記に掛かる費用はどのくらいですか?


伊藤先生:


相続登記の書類では遺産分割協議書・相続関係説明図というのは、 必ず必要になります
一般的に登記の報酬は総額100,000円~150,000円程度だと思います。
ただし、相続人の数、不動産の評価額、数次相続のケース等によって報酬は変わるので、確定的に言うことは正直難しいです。


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司法書士さんの場合の裁判業務も多いのですか?


伊藤先生:


裁判業務に関しては、司法書士は民事事件しか扱えないんですね。 さらに簡易裁判所で扱える140万円以下の比較的少額な裁判しか扱えません。 あと司法書士でも認定を受けた司法書士しか、裁判を扱うことができません。
しかし、私の経験上ですが、 司法書士が債務整理以外の一般民事の裁判を扱うことは非常に少ないですね。


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裁判の料金はどの程度掛かるものなんでしょうか?


伊藤先生:


現在のところ、一般民事での料金相場は、わからないのが正直なところです。 なぜなら圧倒的に一般民事の裁判を扱う件数というのが少ないからです。 しかし、一般民事の裁判を多く扱っている司法書士さんで、 報酬は100000円~150,000円程度が打倒だと思います。


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そうなんですね、ありがとうございます。 今回司法書士さんの業務についていろいろお聞きしてきましたが、 今司法書士をお探しの方に何か一言あればお願いします。


伊藤先生:


まずは気軽にご相談に来て頂ければと思います。 実際しっかりお話を聞いてみないと、現在抱えている問題に対する、 一番良い解決方法がわりませんので。


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そうですね、まずは相談するということですね。


伊藤先生:


そうですね。まずはご相談下さい。


司法書士検索サイト:


伊藤先生、本日はありがとうございました。


伊藤先生:


こちらこそありがとうございました。

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